プロジェクトストーリー4-1「DX」職場やビジネスを変貌させる
DXの可能性。

INTRODUCTION

社員からでたアイデアで
会社全体にDXを起こしていく。

JR東日本ビルテックでは「アイデア」×「データ」によってDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現していくという夢を掲げている。
アイデアを創出するのと同時に、データ利活用プラットフォームの構築、AI(人工知能)の活用、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の展開など、DXを推進する取り組みが行われている。
ビルテックが蓄積してきた駅や駅ビルなどに関する膨大なデータを活用しどのようなサービスを生みだしていくのか。ビルテックのDXは、既存業務の洗練に加え、新しい価値・サービスの創出を目指している。
 背景Photo:Videezy(https://www.videezy.com)

誰もがプラットフォームを利活用できる環境を整備

2020年5月、データ利活用プラットフォーム「F/MaaS」の社内運用がスタートした。会社が持つデータを1ヵ所に集め、Tableau(タブロー)というBIツールを使って分析したものを可視化するというものだ。「この機能を現場でどう生かしていけるのか、社内でアイデアを広く募集しているところです」と、F/MaaSの活用推進に携わるスマートFM推進部の布川は現状を説明する。「いくつか現場で活用できる事例は提示しているのですが、可能性はそれだけではないはずです。『こんなことができるんじゃないか』『こんな機能があったらいい』というような意見が、もっともっと現場から出てくるよう仕掛けていきたいと思います」。
F/MaaSを使用するためのアカウントは、1500人を超えるビルテックの社員全員に付与されている。誰もがデータを利活用できる環境を整えることにより、ボトムアップでDXを推進していこうという方針なのだ。F/MaaSを全社的に浸透させるには、概要や機能を伝え、データの価値や活用のメリットを感じてもらうのが一番である。全社的に活用されるよう、布川は啓蒙活動に日々励んでいる。

AIの予測がベテランの穴を埋める。

データから管理する設備の変化を予測するためにAIを活用しようという取り組みもなされている。「F/MaaSでデータが集約されるに伴い、それを生かして何か新しい価値創造ができるのではないか。それでAIを使ってみようと考えたのです」とスマートFM推進部の比留間は振り返る。
例えばビルのエネルギー使用量などの数値の予測、特定の機械が故障する見通しなど、これまでベテラン社員が経験と勘で行っていたことを、AIができるようになるかもしれない。それが実現すれば現場の負担は軽減され、将来的な人材難にも対応できる。また、AIによる予測の精度が上がれば、壊れる前に直すという予防保全の幅を広げ、これまで壊れたら直す事後保全をしていた事象も減らすことができ、快適な空間を提供し続けることができる。
「アイデアについては、本店で開催したワークショップでデモを行い、それに参加した社員からおよそ100個のテーマを出しました。まずは、その中から有望なものを絞り込んで、目に見える成果を出したいと考えています。その成功体験を全社員に共有していくことで、それでAIで実現できることのイメージを持ってもらえば、活用のアイデアがさらに出てくるでしょう」と、比留間は展望を語った。

RPAが業務を代行し、現場の負担を減らす。

RPAを全社展開し、業務負担を低減しようという取り組みもある。数年前から進められていたが、2020年7月には専門部署(経営企画部RPA推進グループ)が創設され、さらには各職場でRPAの利用推進を促すRPA推進者の社内公募が行われ、多く社員がその推進に携わっている。RPA推進グループの西川は「現在はRPA推進者と定期的に情報共有を行うとともに、部署間のコミュニケーションの活発化を図り、全社を挙げた取り組みを始めています」と説明する。
データの転記や可視化などといった、決められた定例業務など人の判断を必要としない単純な業務をRPAが遂行してくれれば、その創出された時間で新たなアイデアを生み出すことができる。現在検討されている案件は計40件。いずれも業務の効率化につながるものだ。「RPAで何ができるのか、何が変わるのかについての理解、浸透はまだまだ不十分です。実際に課題を見つけて運用するのは現場の方々ですから、さらに啓発活動を進めていきます」と西川は語る。

地道な活動で飛躍を目指す。

一番の課題はDXを全社的に浸透させることと3人は口を揃える。「本店勤務の社員が現場の細かい業務までを理解するのは困難です。AIやRPAといった選択肢は増えてきたので、経験や役職にとらわれず現場の社員自らが、それらをどう活用していくか考えていただけるといいですね。我々がしっかりサポートしますから」という西川の言葉に布川も同意する。「ですから、とにかく現場社員とのコミュニケーションを通じて、何がしたいかをくみ取りながら、一緒に形にしていきたいと思います。」
DXの効果は業務の効率化のみにとどまらない。ビルテックが保有しているデータを何らかの形で施設のオーナー各社や一般のお客さま一人ひとりに還元できれば、これまでとは全く違うビジネスが実現するかもしれない。FM業界における新たな価値を創造できる可能性を秘めているのだ。
とはいえ、こうした価値創造が一朝一夕でできるわけではない。「はじめは業務効率化が成果として表れてくると思いますが、それと同時並行で、新たな価値を生み出すための取り組みを進めていきたいと考えています」と語る布川と西川。千里の道も一歩から。来るべき未来へ向かって、彼らはビルテックのDXを着実に進めていく。

西川 周作
経営企画部 システム戦略グループ
比留間 悠人
スマートFM推進部
布川 百合恵
スマートFM推進部
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