プロジェクトストーリー2「スマートメンテナンス」さまざまな先進技術を駆使し、
最先端の施設管理実現をめざして。

INTRODUCTION

スマートメンテナンスを活用し、
TBMからCBMへ。

いま、ファシリティ業界は、TBM(Time Based Maintenance…時間基準保全、故障の有無に関係なく定期的にメンテナンスを実施する考え方)からCBM(Condition Based Maintenance…状態基準保全、ICT・IoTを駆使し必要と判断された時にメンテナンスを実施する考え方)へと大きくシフトしようとしている。そして、その移行に必要不可欠な技術が「スマートメンテナンス」だ。スマートメンテナンスとは、近年発展の著しいAI、ICTやドローン等を活用し、予防保全から予知保全につなげていくというもの。JR東日本ビルテックでは、それらの先進技術に、自社ならではの膨大なデータをかけ合わせて、さらなる安心・安全を追求していこうとしている。

変わりゆく環境に応えていくために、
スマートメンテナンスは必要不可欠。

本プロジェクト発足の経緯は、国が抱えている問題のひとつでもある、就業人口の減少も大きく関わっていると話すのはJR事業部企画グループ課長の佐藤だ。さらに「維持管理設備の老朽化、維持管理業務の増加、仕事の精度向上など、会社を取り巻く環境が変化していくなかで、限られたリソースを最大限に活用するためにはスマートメンテナンスの実現は急務です」と続ける。今後はスマートメンテナンスを通じて、いかに人的負担を減らし、いかに効率的に質の向上を図っていくことがカギといえそうだ。しかし、本格的なスマートメンテナンス実現に向けて、見えてきた課題もあるという。技術本部技術部技術開発グループ総括主任である今田は「たとえば、センシングでのモニタリングや、ドローンを高所点検に活用するなど、メリットは多くあるのですが、実際の運用となるとまだまだ課題が残るものもあり、現場での検証を重ねていく必要があります」と続けた。ビルテックにとって、「安全」は何よりも優先されるもの。さまざまな角度から検証し、使用時の明確なルールや取得データの安定性なども徹底していく必要があるという。

バラバラだったデータを、
ひとつのビッグデータに集約。

そんななか、現在実際に活用されている技術もある。それが、スマートメンテナンスの母体となる「維持管理システム」のクラウド化だ。これまでは、各部門が資料を紙ベースで保管していたため、横断的な情報共有がされていなかったという。しかしこれからは、ビルテックが取り扱っている維持管理情報データをすべてクラウド上にアップすることで、ひとつのビッグデータとして全社的に共有される。「情報が共有されることで、どういう部分が壊れやすい傾向にあるのかといったことが、以前よりも明確になってきます。そのデータをもとに、いままで見えてこなかった付加価値のある提案も実施できると思います」と佐藤は語る。ビルテックが扱う維持管理は東日本全域にわたる。そうした膨大なデータを活用できるのは、ビルテックならでは強みといえるだろう。

現場のスタッフが本当に
使いやすいと思えるものを。

スマートメンテナンスを実現していくにあたって、何よりも大切なのは現場の声だと佐藤は話す。「現場が苦労しているものを解決し、苦労を軽減する。それがスマートメンテナンスの根幹なのだと私は考えます」。そのために佐藤は現場とのコミュニケーションを欠かさない。「現場の人間と会話して困っていることを拾い取っていく。私も現場にいたのでわかるのですが、現場にいると目の前で発生している1つ1つの事象を解決していくことに追われ、苦労を軽減するところまで考えが回らない現状もあると思います。たとえば、雨漏れなどの原因究明は大変で、1箇所修繕しても他の箇所から雨漏れするなど根本的に修繕することは大変な労力です。これがもしセンサーを使って場所が特定できたら労力が軽減できる。そういった、現場の苦労を見つけ軽減させたいと思っています」。スマートメンテナンスは、現場の人間が「使いたい」「使える」と思ってもらわない限りまったく意味がないと佐藤は続ける。つくっただけでは駄目で、現場の声をフィードバックしながら、実際に使えるように改良を加えていくことが大切ですと、今田も同調した。

ビルテックだからこそできる
スマートメンテナンス実現に向けて。

最後に、ビルテックとしてのスマートメンテナンスがこれからめざす夢を聞いてみた。佐藤は「スマートメンテナンスという言葉が先行していますが、維持管理業務・メンテナンス業務を変革していく“核”として、ビルテックだからこそできる、ビルテックらしい取り組みを行っていきたいと考えています。そして、CBMの観点からの取り組みの推進を図っていきたい。また、本店・現場が協力し、アイデアがどんどん芽生えてくる環境を構築していけたらと思います」。今田は「当社のメリットは事業規模が大きいこと、メンテナンスの現場が東日本全域にあることです。この当社しかないメリットと新技術を掛け合わせて、今までにない価値を生み出していきたい。また、それに伴い社員自身の意識・考え方が豊かになっていければ嬉しいです」と語ってくれた。ビルテックのスマートメンテナンスプロジェクトはまだ始まったばかり。これからのさらなる躍進に期待したい。

今田 勇太
人事部
採用・教育グループ
佐藤 隆太
JR事業本部 JR事業部
検査センター
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