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研修センターFMTEC

2019年完成のビルテック二代目研修センター「FMTEC」
初代研修センター「FM道場」のビルテックの知見に新たな 機能を加え、『見て、触って、体感する』場になるようこだわり抜いた。
ここでは、その一端を紹介していく。


 
 

 

Facility ManagementにおけるTechnology

建物施設・設備をメンテナンスするにあたって社員がぶつかる壁は沢山ある。
あまたの設備や機器があり、何がどれか覚えるのは手始め。そして「故障している」ことは分かるが「どう故障しているのか」。直し方はマニュアルにはあるものの、現実は様々。ネットを駆使するにも限界があり、ステップアップを重ねるうえで机上では理解がイマイチ……。

ビルテックがメンテナンスを行う建物は様々であり、それぞれに特有の難しさがある。
商業ビルは、営業中はもちろん準備中も含め稼働を続けている。ホテルであれば24時間お客さまが滞在する。駅舎では絶え間なく行き交うお客さまに加え、常時列車が運行し、各種設備はひと時も休む間もなく働き続けている。その中で、実物を用いて学ぶことは難しい。特殊設備も多く、他箇所での体験も難しい。

ビルテックの課題を克服し、技術や経験を継承していくために、FMTECでは、『見て、触って、体感する』ための色々な工夫を凝らしている。


見る

先ず着目したいのは、『見て』学ぶための工夫だ。
FMTECでは、設備をスケルトンとして内部構造を見せ、一部を切断し断面から構造を確認できる仕様にしている。 空調ダクトは天井内で断熱材に覆われているため、現場ではどう頑張っても内部ダンパーを見ることはできない。受水槽や空調機に関しても、ハコの内側は中々見られるものではない。
その設備を動かしつつ「どういう物理現象が起こっているか」を自分の目で確かめられることは、とても貴重だ。

 

受水槽

受水槽

空調機,AHU

空調機(AHU)

エキスパンションジョイント,EXP-J,設備断面

EXP-Jの断面

内装や外装の断面構造も学びのポイントだ。
天井や壁材の構造を知ることで、雨漏れをはじめとする障害対応や修繕工事にあたって、あるべき姿を勘ではなく理屈で判断できる。実物の部材とその仕組みを「理解する」ことはFM技術者の大きな武器となる。

異常時のみ起動する非常設備も、稼働状況をリアルに学ぶことができる
。 防災盤へのアラート発出、スプリンクラーの放水など、自ら起動させその稼働状況を体得する訓練を積むことにより、非常時での冷静な対処が可能となる。

これらの設備は、現場でのOJTを終えた社員からのニーズから生まれたものが多い。実際の現場で体験し、その上でより深く知りたいという欲求、知らねばという必要性を感じる。このニーズをしっかり受け止めることができるのがFMTECの強みだ。
本質を知ることで、「なんとなくわかった」レベルを脱し、技術者として成長していく。


触る

2つ目の魅力は、普段は簡単に触ることができない設備を『触われる』ことだ。
危険な高所にある設備、感電の恐れがある設備も気軽に触ることができる。電光掲示板や照明設備を、足場を使わず、目の前でじっくりと。電気設備を安全な状況で、細部まで。じっくりと集中して触って覚えることで、実際の現場では、安全かつ的確に作業をすることが可能となる。

 

発車標

発車標を開けて点検

給排水設備,バルブ,設備断面

バルブの断面

列車非常停止装置,列停

列車非常停止装置

隠ぺい部の部品も、実物をたやすく手に取れる。水道のバルブなど、見えない場所にある一方、重要な役割を果たしているものも、随時分解・組立てをすることができるのも大変有意義な経験だ。

 

列車運行に関わる緊急装置、踏切やホームにある列車停止装置など、緊急時にしか触らない装置にも実際に触れる。人命に関わる事故を回避するため、ビルテック社員は、よもやの際は的確な操作が求められる。止めてはいけない列車を、責任をもって確実に止める。だからこそ、扱いに精通することが責務となる。

“触る”経験が、現場業務の不安をなくし、安全で質の高い作業を可能にするのである。


体感する

なぜ故障するのか。どのように直すのか。それを『体感する』工夫がFMTECにはある。
あらゆる設備の不具合や故障の状態——電気が付かない、水が出ないなど——を意図的に作りだせるのである。これらの原因は1つではない。現場で自分事となった際、自らの経験が解決の選択肢となる。早く確実に対応できるよう、さらには未然に防げるように研修で体感し経験と技術を吸収していく。

 

消火栓

消火栓の散水訓練

ファンコイルユニット,FCU,点検

空調設備の点検実習

模擬駅,コンコース

模擬コンコース

FMTECでは実際の駅設備・ビル設備を忠実に再現している。特に模擬コンコース・模擬ホームは、駅独自のお客さまと列車の行き交う特徴的な流動空間を丸ごと再現した研修施設であり、各設備を実態により近い形ですぐに確認できる。ここでの訓練のために来所するJRグループ関係者は少なくない。駅設備メンテナンスのプロフェッショナルを育成する場として、グループの中でも価値ある施設となっている。
メンテナンスの体感とあわせ、安全への体感も行える。安全の確保は私たちの仕事の根底にある最大の技術だ。究極の安全を求め、ビルテックは日々の業務を遂行している。その一方、高度な安全性は、事故の経験を希薄にする。この難しい関係性のなか、決して起こしてはならない重大事故をVRによって疑似体験するのだ。感電、墜落、そして列車接触といった、作業と隣り合わせの命を奪いかねない危険。これら貴重な恐怖の疑似体験により、命を守る基本動作、危険予知の重要性・・・安全こそ技術の積み重ねであることを痛感する。

百聞は一見に如かず、百見は一考に如かず。
一人ひとりが身をもって体感することで、確実にビルテックの力となっていくのだ。

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